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私は日々多くの間取り図面を拝見していますが、その中には「ただ窓を付けただけ」のような図面も少なくありません。効率よく風を通したり、西日を和らげたりするための工夫や、プライバシーへの配慮などがされていない、配置もサイズもワンパターンの「とりあえず窓を付けた」図面です。「とりあえず」ならよいのですが、これがそのまま最終のプランとなってしまうことも多いのです。
住宅のプランづくりは、設計図という平面で行っていきますから、窓がどこに付くかはわかっても、そのサイズや取り付ける高さまでは、なかなか把握しづらいものです。また、何社からもプランや見積もりをとる場合には、「どうせ合い見積もりだから」と、業者側も細かい配慮までは盛り込んでくれないことが多いのです。
以前にもお話をしましたが、よい住まいづくりができるかどうかは、設計者や営業担当者の知識や経験によるところが大きいのです。窓に関しても、知識や経験が豊富なプロであれば、光をふんだんに取り入れたい場所は、構造上の安全性を損ねることなく開口部を大きくとったり、北風が吹き付ける場所は開口を小さくしたりと、窓の配置やサイズに強弱をつけてくれます。そして、もっとレベルの高いプロは、さらに窓を上に下にと、自由自在に操ってくれるのです。
窓を上下に操るとは、周囲の状況などに合わせて、窓の取り付け位置を高くしたり、低くしたりすることです。「何だ、そんなことか」と思われるでしょうが、そんなことが実際の住まいづくりには生かされていないのが現実で、窓に細かい配慮がされた図面を拝見することはそうはありません。
では、どんなときに窓を上下に操るかというと、たとえば、すでに建っている隣家の窓と、自分の住まいの窓が向き合ってしまいそうな場合です。前回の「窓は光も入るが火も入る」でもお話をしたように、窓同士が向き合ってしまうことは、プライバシーの問題以外にも考慮すべき点がありますね。しかしこのような場合でも、窓をつけないことには住まいに風が通りません。また、窓はつけたものの、なかなか開けられないのでは意味がありませんね。

そんな場合は、天井部分に近い「上」に窓を付けたり、幅の細い縦長の窓を採用したりするとよいのです。そうすれば、プライバシーを守りつつ、気兼ねなく窓を開けることができ、風も通すことができますね。また、夏の暑い時期には、部屋の上部にたまりがちな熱気を排出するのにも効果的です。窓の位置を高くしたぶん、壁面も有効に使えるでしょうし、窓が高い位置にあれば、防犯面でも有利になるはずです。
次に、「下」に窓を取り付ける場合ですが、これは西日の対策に有効です。夏の暑い西日は、住まいの快適性にも影響するものですが、西日を避けるあまり窓を極端に小さくしたり、窓をなくしてしまったりすると、逆に住まいの風通しを悪くしてしまいます。

そんな時、今度は窓を床面近くに下げてあげるとよいのです。このような窓は「地窓」といわれ、畳に座ったり寝たりする和室では、部屋の低いところに風が通り、過ごしやすい空間になります。低い位置にあるぶん、面格子を付けるなどの防犯面での配慮は必要ですが、窓の外に樹木を植えれば適度な目隠しにもなり、木陰の涼しい空気を取り入れることもできるでしょう。
このように、窓は配置やサイズを考慮するとともに、上に下にと移動させることで、さらに住まいをよくしてくれるものです。窓の知識の豊富なプロと出会うことは大事ですが、「とりあえず窓を付けた」住まいにはならないよう、みなさんも窓のつくりには着目してくださいね。
小池康壽の現代家相学では、「よい住まいづくりは、よい窓づくりなり。配置やサイズを考慮するはもちろん、時には上に下にと動かす知識も必要なり」と申し上げておきましょう。
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