家相の古書には、寝室に関する記述も多く見受けられます。「寝所には、箪笥、長持、櫃の類を置く事を好まず」、「寝所の辺にかまどをつくれば、小児に祟るべし」、「門口の筋に寝処を構う事忌むべし。多くは利からず」など、現代でも十分通じる内容も多いのです。
人は人生の3分の1近くは眠っています。ですから、寝室は人生の3分の1近くを過ごす場所でもあります。よい睡眠がとれるか否かは、当然、その人の人生にも大きく影響するでしょう。家相の中に寝室の教えが多いのも、先人たちが寝室は大切な場所であると考えていたからでしょう。最近は不眠症に悩む方が大変多いといわれています。一日の疲れを取り去ることのできる寝室、質のよい睡眠をとることができる寝室をつくることが、現代の家づくりには不可欠です。今回は、そんな吉の寝室をつくるポイントをご紹介してまいりましょう。

「寝所には、箪笥、長持、櫃の類を置く事を好まず」。この言葉は、寝室に箪笥(たんす)などを置くことは凶といっています。これは確かにうなづける話で、阪神大震災のときにも、たんすが倒れて下敷きになり、命を落とされた方が多かったのはご承知のとおりです。
地震はいつ起きるかわかりません。万一就寝中に起きた場合は、寝室に置いてあるたんすなどの家具は、凶器と化してしまうおそれがあります。また、たんすの裏側には湿気や埃がたまりやすいですね。これがカビやダニの発生を促す原因にもなるのです。たんすの中の防虫剤も、まったく無害というわけではありません。寝室は人生の多くの時間を過ごす場所、できるだけ健康的な空気環境の中で眠りたいものです。たんすなどの家具は納戸におさめ、安全で健康的な眠りを確保しましょう。
次に、「寝所の辺にかまどをつくれば、小児に祟るべし」という言葉ですが、これは、台所の隣に寝室をつくることを凶としています。火災が起きたときの危険や、台所の空気の汚れが、寝室によい影響を与えないということでしょう。気密性の高くなった現代の住まいこそ、より注意したい言葉ですね。
また、台所は「音」の多い場所でもあります。食事の支度をする音が、睡眠を妨げてしまうこともよくあります。特に、家族の生活時間帯がずれている家庭では、台所の隣の寝室には配慮が必要です。遅くまで受験勉強をする子供やお年寄りの部屋とは、できれば隣接させないようにすることが望ましいですね。その意味では、階段やトイレ、浴室なども、寝室と隣接する際には音の配慮が必要です。廊下や押入れを挟み、音が伝わらないようにするとよいでしょう。
「門口の筋に寝処を構う事忌むべし。多くは利からず」は、表玄関と直接通じる場所に寝室を設けるなといっています。騒音の少ない静かなところで眠ることを良しとしているのです。また、表玄関から寝室がまともにつながっているようでは、防犯上も心配で、落ち着いて眠ることができませんね。
昨今は何かと物騒になり、窓を開けて寝ることも難しいご時世ですが、暑い夏場でも安心して窓を開けて寝ることができる寝室こそ、吉の寝室であるでしょう。ひと晩中エアコンをかけて寝るのは、体にもよくありません。たとえば、雨戸やシャッターを通風タイプのものにして、閉め切っていても風通しが確保できるようにするとよいですね。窓に欄間をつけたり、高窓を設けるなど、就寝時に安心して自然の風を通す工夫をすることも、吉の寝室をつくるポイントになるでしょう。
最後に、これは先人の教えではなく私の家相学ですが、2世帯の場合の寝室のチェックポイントをお話しておきましょう。2世帯の場合は、両親の寝室の上にどんな部屋がくるかも注意してほしいのです。深夜まで勉強する子供の部屋や、新婚の若夫婦の部屋などとは上下しないほうがよいですね。住まいが高気密化され、外部の騒音が聞こえなくなった代わりに、現代では住まいの中の音がこもりやすくなる、響きやすくなる傾向も見受けられます。
お互いに気疲れせずに暮らせることが、2世帯の住まいには大切です。隣接する部屋や上下の部屋の関係も、快適な室内空間をつくるために十分配慮してほしいですね。
「寝室は、先人の教え今でも十分通じるものなり。しっかり眠れる環境を確保することが、すべての吉運を得ることとなり」とお伝えしておきましょう。