廊下の家相

「家の真ん中を廊下が通ると、住まいが分断され家庭不和になる」。また、「家の四隅に廊下があるのも凶」など、家相では昔から、廊下についてはどちらかというと凶の部分がクローズアップされてきました。

しかし、私は廊下を凶どころか、大吉のアイテムだと考えています。たしかに、廊下は地味な存在です。スペースがもったいないからと、昨今は廊下をつくらない住まいも増えてきています。しかし、廊下は住まいの中で、実に重要な役割を担っているありがたい場所なのです。

昨今の住まいは高気密・高断熱のため、住まいの中の温度差が少なく、快適な居住空間をつくることができるようになりました。大きな空間をつくっても、冷房や暖房も効率よく行えるようになり、部屋を小さく区切るよりは、広々としたひとつの空間にすべてを配置するほうが、都合がよいと考えられるようになったのでしょう。

トイレもお風呂も洗面所も、リビングから直接行き来できる。階段もリビングの中にある。廊下のない、すべてがひとつの空間に収まった間取りを、鑑定の際にも数多く拝見します。動線が楽、温度の変化がない、リビングを広くとれるという利点はたしかにあるでしょう。しかし反面、臭いや音がこもりやすくなり、住まいとしての快適性を失ってしまうことも少なくありません。

洗濯機の音やトイレの水洗の音、お風呂の湿気やさまざまな臭いが、家族の安らぎの空間にもダイレクトに伝わってきます。リビングの話し声やテレビの音が、子供の勉強やお年寄りの睡眠を妨げることもあるでしょう。

しかし、そこに廊下があれば、少なからず音や臭いを和らげてくれます。無駄と思える廊下のスペースも、音や臭い、湿気などの緩衝地帯と考えれば、決して無駄ではないと私は思うのです。外国のように大きくて広い住まいなら、多少の音や臭いも気にはなりません。しかし、日本のように限られた広さの住まいでは、やはり緩衝地帯も捨てがたいものなのではないでしょうか。

また廊下は、暑さや寒さの緩衝役にもなってくれます。たとえば、和室に廊下があれば広縁になりますね。広縁は夏の強い日差しをさえぎってくれ、奥の和室は明るさと乾いた空気だけを取りいれることができますし、畳の日焼けも防げます。そして、冬場はサンルームのような場所になり、お年寄りや小さな子供にとっては、日向ぼっこや遊びの場として重宝するでしょう。冬の夜間は、サッシと和室の障子で放熱を防ぎ、和室が冷え込むことを防いでもくれます。

リビングなどでも、廊下を設けることで縁側やデッキになりますし、廊下の床を一段下げ、土間としてタイル仕上げなどにすれば、ペットの遊び場や趣味のスペースにもなるでしょう。廊下というと、暗くて細長いイメージがありますが、こんなふうに考えてみれば、住まいをもっと快適に、暮らしやすくすることができるのです。

廊下はまさに、現代のペアガラスや防音サッシのようなものでもあるのです。音や臭い、暑さや寒さを伝えにくくして、快適な空間づくりにも役立てることができます。私が「大吉のアイテム」とお話した理由、おわかりいただけたでしょうか。

小池康壽の現代家相学では、「古来の家相、廊下を凶と見るが、現代では音や臭いを和らげ、住まいを吉にする力も持つものと考えよ。ただ単に無駄と片づけず、うまく利用すればよき住まいになりけり」と申し上げておきましょう。