|
鬼門とは、家の中心から見て北東の方角(表鬼門)と南西の方角(裏鬼門)を指し、災い事が起きる不吉な方角として、昔から恐れられてきました。この鬼門にトイレやお風呂、台所などの水回り、また玄関や階段などがあると、家族に病人が出るとか、事故に遭うなどといわれています。
しかし、鬼門に本当にそんな力があるのか、みなさんも知りたいところだと思います。前回の「家相とは?」でもお話をしましたが、家相は「迷信」と「理にかなうこと」が混在する厄介なもの。鬼門に関するこれらの説は、その「迷信」のひとつです。多くの方の家づくりを拝見してきた経験、そして自らの家づくりの経験からも、病気や事故などの災いを招く力などは、鬼門にはないと私は考えています。
ならば、「鬼門は家づくりにとって無用なものなのか?」と思われるでしょうが、決してそうではありません。恐れるには及ばずとも、大いに気にしていただきたいと、私はいつも講演や鑑定の際にお話をしています。鬼が棲む場所だとか、神様の通り道だから不浄なものを配置してはいけないとか、水との相性が悪い場所だとか、そのような考えは、家づくりにおいては否定してもよいでしょう。しかし、鬼門という場所は、ある特徴を持った場所であり、その特徴を理解することは、家づくりにとてもプラスになるのです。
では、どんな特徴を持った場所かというと、表鬼門の北東は、太陽光が当たりにくいために家の中で最も冷える場所。そして裏鬼門の南西は、西日が差すために最も暑くなる場所です。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、家づくりに際して方角というものを考えるときは、とかく縁起の良し悪しや占い的な吉凶にとらわれがちで、日の当たり方や風の通り方といった方角そのものの特徴は、なおざりにされてしまうことが多いのです。鬼の棲む場所だとか、不浄のものを配置すると災いを招くとかいわれる鬼門も、そもそもは北東、南西という方角です。太陽光の当たり方など、その方角が持つ特徴をこそ、家づくりに反映させていくことが大切だと思うのです。
たとえば、国内最大の水産市場である東京の築地市場では、1000社近い業者が数年ごとに場所替えを行なっています。駐車場から便利な場所がよいという理由もありますが、市場内の北側や北東側が人気のため、公平を期すために場所替えを行なっているのだそうです。商売をする場所ですから、縁起をかつげば鬼門の北東は嫌われるように思いますが、北東や北は冷える場所ゆえ氷が解けにくく、魚の鮮度を保つのに都合がよいという利点があるのです。
また、昔からの古書街である御茶ノ水や神田は、多くの書店が北向きに店を構えています。これは本が日焼けしないように配慮しているためです。そして、日本で初めての高層ビルとして建てられた霞ヶ関ビルには、太陽の熱の影響で構造材の鉄骨が微妙に伸び、半年間明確な理由がわからず工事が中断されたという経緯がありました。
上記のような大きな建物や会場では、より顕著に太陽光の影響や方角の特徴がわかりますが、一般の住宅でも、方角や場所によって明るさや温度、住み心地が変わるものです。
鬼門、裏鬼門も、寒い場所、暑い場所という方角の特徴をこそ、大いに気にしていただきたいと思います。今後は、いろいろな部屋と方角の相性をお話してまいりますね。
|