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思いもよらぬ事故でけがをしたり、命を落としてしまったりすることは、決して少なくありません。そして、その思いもよらぬ事故は、住まいの中でも多発しています。中でも圧倒的に多いのが、階段での転倒、転落事故です。
階段での家庭内事故の多さについては、以前もお話をしましたが、階段が危険な場所であるという意識を持って住まいづくりに臨む方は、まだまだほんの少しです。家相鑑定で図面を拝見していても、急勾配の階段や曲がり階段のほうが多く見受けられます。これだけ情報が氾濫する社会であっても、住まいの中の階段が命にかかわる場所であること、人生を左右する場所であることは意外に知られていません。
建築基準法を守っても、急勾配の階段や、踏み面の小さい階段ができてしまいますし、上曲がりの階段が危険だと知りえていても、設計に制限をしているハウスメーカーはごくわずかです。ハウスメーカーや工務店、設計者が、階段に重きをおいた設計をしていないのも現状ですが、部屋の広さを優先する施主の希望にも一因があるでしょう。限られた敷地の中では、どうしても階段は省スペース化されがちですからね。
しかし、家族が健康で幸せに暮らせる住まいを望むのであれば、階段にもっと重きをおいていただきたいのです。事故が起きにくい安全な階段を、まず施主の方が希望していただきたいのです。そのためにも、今回は意外に多い危険な階段の例を、お話しさせていただきます。

上部に曲がり部分のある階段は、高い位置で足を踏み外すおそれもあり、危険な階段形状であることは前にもお話をしましたが、実は下で曲がる階段も、同様に注意が必要なのです。曲がり部分で転倒した場合は、さほど高さもないので大事にはならないでしょうが、最上段付近で転倒した場合は、約3メートル近くの高さから転げ落ちることになります。その際、下部の曲がり部分に壁などがあると、壁にぶつかり、体に強い衝撃を受けるおそれがあるのです。
ですから、階段下のホール部分は、余裕をもってつくることが大切です。これはどんな形状の階段でもいえることですが、ホール部分が狭いと、万一階段から転落した場合に、壁やドアなどにぶつかってしまいます。ドアがガラス入りのものであったら、それこそ危険なのですが、相談に訪れる方の図面には、階段の下り口にリビングのガラス扉があるケースが非常に多いのです。また、下駄箱なども同様です。階段の下り口からは距離をおいて設置するようにしましょう。
また、階段の危険性は、勾配や形状だけによるものではありません。安全のために設置する照明や手すりも、時として事故を誘発してしまうことがあります。たとえば照明の場合、十分な明るさを確保することは大切ですが、その光で目が眩むことのないように配慮することも忘れてはいけません。
特に、裸電球の光が直接目に入るようなデザインの器具は、目が眩みやすく、深夜に階段を下りる際に事故が起きやすくなります。見た目より安全性を重視し、カバーで覆われたものや、目にやさしい階段専用の器具を取り付けることが大切です。
手すりについても、先端の木口が棒状に突き出ていると、着衣の袖口が引っ掛かりやすく、バランスを崩して転倒してしまうケースがあります。特に2階の下り口の手すりは、先端が引っ掛からないように、木口の処理にも気を配りましょう。また、手すりの材質や形状も、安全性の高いものを選択したいものです。
また、危険な階段をつくるケースとして、階段の下にトイレをつくる場合もあげられます。トイレの天井高を少しでも確保するため、階段の角度をきつくすることも多いのです。スペースを有効利用できるとはいっても、階段も危険、トイレも窮屈では困りますから、階段の下のトイレは慎重に検討してくださいね。
昨今の住まいづくりには、個性をアピールすることを望む方が多いように思います。階段もまさにその表れのひとつで、らせん階段や、蹴上げや手すりのない開放的な階段も多く目にします。個性もあったほうがよいでしょうが、小さい子供さんがいる家庭でも、そういう階段が設計されているのを見ると、私はますます声高に言いたくなるのです。デザインだけを重視するのではなく、家族が健やかに暮らせるように、細やかな配慮をしてくれる設計者を選ぶことが大切だと。
小池康壽の家相学では、「階段は命にかかわる場所、住まいの鬼門と心得よ。安全な階段のある住まいこそ、大吉の住まいなり。細心の配慮できるプロを選ぶこと、大吉の住まいへの近道なり」と申しておきましょう。
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