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家相は古くから今に伝わるものですが、中には現代にはそぐわない考え方や、現代の家づくりには用をなさなくなったものも少なくありません。そのひとつが「家相盤」です。家相盤は方位ごとの吉凶を細かく記したもので、昔から家づくりの際には、家相を見るアイテムとして用いられてきたものです。
今でも、家相の本などにはこの家相盤が載っており、これを図面の上に置いて、一喜一憂している方が実に多いのです。家相を見る占い師や設計担当者も、ほとんどがこの盤を頼りに吉か凶かを見ています。しかし、それでわかる吉凶とは、家づくりに本来必要とされる吉、避けるべき凶ではないのです。にもかかわらず、なぜ家相盤が今日まで利用されているのか、そもそも家相盤とはどういうものなのか、簡単に触れておきましょう。
家相は中国思想に基づくもの。当然この家相盤も、中国思想が基になっています。その思想とは、万物を「木・火・土・金・水」の五つの要素に分けて考える「五行説」で、そのそれぞれの関係性から、あらゆる事象を解釈する考え方です。たとえば、水は木を育てるので「水」は「木」と相性がよい。しかし、水は土にせき止められるので、「土」とは相性が悪いというように、五行の相性の良し悪しで、万事を判断していたのです。

方位も五つの要素に分けられており、鬼門は「土」です。なので、ここに相性の悪い「水」、つまり水回りが来ることを凶としたわけです。そして、このような方位と部屋との相性が、細かく記されたものが家相盤です。元々がこのように根拠のないものですから、家相盤の吉凶をそのまま鵜呑みにするのはナンセンスですが、私が現代の家づくりに家相盤は要らないという理由はもうひとつあります。
それは、「宅外」から「宅内」になったこと。昔の家は、母屋とは別棟にお風呂やトイレをつくっていました。私が所有する江戸時代や明治時代の家相書にも、水回りは「宅外の編」として記載されています。母屋の外につくるのであれば、家相盤を頼りにどの場所にでもつくることができますね。また、傷みやすい水回りだからこそ、宅外にする必要があったのかもしれません。しかし今は、何もかもひとつ屋根の下に収まっています。ましてやマンションなどでは、何軒もの住まいがひとつの屋根の下にあります。昔と何ら変わらない家相盤で、現代の住まいの良し悪しを判断することは、かえって住みづらい住まいをつくってしまうことにもなるでしょう。
また、何本もの線を図面に描き入れることも、私は必要ないと考えています。鑑定にみえる方の中には、びっしりと何本もの線が描き込まれた図面をお持ちの方もいます。家の中心から真北、真南、真東、真西へ伸びた正中線。北東、南西、北西、南東へ伸びる四隅線。この他にも、家族それぞれの生まれ年から見る定方位などが描き込まれ、そのライン上に水回りや火気、玄関をつくらないようにすることなど、とうてい無理な話です。それこそ、「八方塞がり」という言葉のようにどうしようもなくなり、家づくり自体が不可能になってしまうでしょう。
家相盤も方位線も、むやみに取り入れようとすれば家は建たなくなります。建ったとしても、それがよい住まいとはいえないでしょう。同じ相性を見るなら、「この場所は日陰で北風もまともに当たる寒い場所、裸になる部屋は相性が悪そうだ」とか、「階段の降り口近くにガラスの扉は危険だな」といった相性こそを考えてほしいですね。時代が変われば家づくりも変わります。そして、家相もまた、その時代に合ったものを取り入れていただきたいのです。そのお手伝いができるよう、私はこれからもがんばっていきたいと思っています。
さて、方位線は図面に描かなくて結構と申し上げましたが、実は、図面にぜひ描いてほしい線があるのです。次回はその線についてお話し致しましょう。
小池康壽の家相学では、「家相盤に方位線、現代の家づくりには不要なり。用いることで住み良さ逆に遠のいていくなり。ただし、快適に住まうための相性は、現代でもおろそかにすることなかれ」と申しておきましょう。
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