階段の家相学 |
「家の中央に階段があるは忌むなり」。これは家相でも代表的な言葉ですが、家相では鬼門と同じく家の中央部も、災いを招く場所として昔から嫌われてきました。中でも階段に関しては、家の中央部にあるのは大凶相、家人が心臓病を患うなどともいわれています。「心臓病」などというのは迷信と考えてよいことですが、家の中央の階段を凶とする考えには、「安全な住まいを求めよ」という先人の思いも、確かに込められているのです。![]() 昔の建物は、屋根瓦の下に大量の土を載せていましたから、屋根の荷重もたいへんなものでした。その重い屋根を、柱や梁でしっかりと支えるためには、家の中心部で大きな柱で支えることが理想的です。しかし、そこに階段や大きな吹き抜けをつくってしまうと、中央で屋根を支える力がどうしても不足してしまいます。 また、現代と違って、トップライトの技術もない時代の住まいの中央部は、昼間でも暗い場所になってしまいます。約3メートルの高さを上り下りする階段が、家の中で一番暗い場所にあるのでは大変危険です。これらのことから、先人は私たちに、中央部に階段をつくることには注意せよとも伝えているのです。 しかし、現代の住まいは、屋根に土を載せなくなりました。トップライトや照明の技術も発達した現代の住まいでは、階段の吉凶はどう考えたらよいのでしょう。驚かれるでしょうが、階段では年間1000人近くの方が、命を落としているといわれます。国民消費者センターの統計では、年間数万人もの人たちが、階段で後遺障害を残すほどの転落事故を起こしているそうです。家庭内事故は詳しい件数が把握できないため、実際にはもっと多くの人が事故に遭っているともいわれます。一昨年は著名な作家が、階段事故で亡くなりました。また昨年も、小学校の階段から転落し、直面するガラスの扉に衝突して児童が亡くなるという事故が起きています。このように階段は、とても危険な場所なのです。ですから、家づくりの際は、階段がある場所や方角で一喜一憂するより、まず階段そのものが安全な構造か否かということに、じっくりと時間をかけてほしいのです。家相相談に訪れる方の図面を拝見していると、まだまだ危険な階段を使用しているケースが多いのが現状です。たとえば「上曲がり」の階段です。この階段は、最上部に踏み面の狭い曲がり部分があるために、その最上部で転倒しやすく、万が一転倒すれば、階下まで一気に落下するおそれがあります。そして、角度が急な直行階段も危険です。しかし、建築基準法では、約57度前後の急傾斜の階段も許可されてしまうのです。 安全な階段にするためには、できる限り、階段の角度は40度をきる角度にしたいものです。そして、U字型階段やL字型階段のように、中央部分に踊り場が確保された階段を使用したいですね。先ほどの上曲がり階段を、設計上使用禁止にしている大手ハウスメーカーは、現在はまだ数社ほどしかありません。狭い敷地の場合は、面積をとらない上曲がり階段を使用したほうが、設計の自由度が増すからです。しかし一方で、施主の命を大切に考える設計者は、17段、18段の緩やかな階段(33度前後)を一般住宅でも設計しています。また、階段には明るさも不可欠です。できれば、階段は自然の光が差す場所につくりましょう。照明も十分明るいものを選び、安全に上り下りできるような位置に取り付けることがポイントです。階段は危険な場所だということを、住み手である私たちがまず認識することも大切ですね。 小池康壽の家相学では、「階段は危険な場所。明るく、極力緩やかな角度にするべし。できることであれば、U字やL字の折り返しの階段形状にすると大吉なり」と申しておきましょう。 |