建物の家相

敷地にどのように家を建てるか。家相では、建物の配置のしかたによっても、住まいの吉・凶が大きく変わってきます。建物の配置はそれだけ重要なものなのですが、実際には、意外にないがしろにされている感が否めません。

全国から鑑定にみえる方々の図面を拝見していると、建物の配置計画にある傾向が見受けられます。それは、敷地いっぱいに建物を建てること。もちろん、建蔽率というものがありますから、敷地の全部を建物にすることはできませんが、使える分だけめいっぱい建ててしまおうという図面が多いのです。狭い日本、土地の高い日本ですから、当然のことといえば当然のことですが、結論からお話しすれば、これは家相的には大いに凶となります。建物寿命、住まいの快適性、防災・防犯面など、さまざまな面で問題が起こるおそれがあるからです。

たとえば建物寿命。敷地に対してほぼいっぱいに建物を建てれば、当然風通しも悪くなります。周囲に何もない場所ならよいですが、近隣に建物がある状況では、床下の風通しは大幅に悪くなるでしょう。日本の住宅は、欧米に比べて極端に寿命が短いといわれますが、材質の優れた木材や、高い建築技術を持ってしても寿命が短い原因は、高湿度な日本の気候にあるのです。それゆえ、住まいには風通しが、とりわけシロアリや腐朽菌に侵されやすい床下の風通しが大切なのです。敷地に余裕をもたせずに建物を配置することも、日本の住宅の寿命を短くしている一因といえるでしょう。



もちろん、住まい全体の風通しも不利になります。どんなに風通しを考慮して窓を配置しても、周囲の建物との距離に余裕がなければ、風は効率よく入ってきません。湿気や臭気も滞りやすく、住まいの快適性にも影響してきます。

風通しだけでなく、隣家の話し声や、さまざまな生活音が快適性を損ねる場合もあります。換気扇やエアコンの室外機、給湯器などは、音だけでなく排気の影響までを受けてしまうこともあるでしょう。また、これは私が初めて家を持ったときのことですが、めったに雪が降る地域ではないため、屋根に雪止めがなく、隣家の屋根から落ちた雪で、わが家の雨樋が壊れたこともありました。敷地に余裕がない建物配置だと、このように雪や雨が災いしてしまうこともありますね。

そして、敷地に余裕がない建物配置は、防災や防犯の面でもやはり凶となるのです。どんなに防火性能の高い外壁を採用しても、周囲の建物と近接していれば、それだけで延焼の危険は高まります。以前「窓」の回でもお話したように、火は窓から燃え移ってしまうからです。また防犯面でも、近接する隣家の庇や物置などが足場となって、2階から侵入されてしまったり、近接することで死角ができてしまう場合も多いのです。

では、住まいを凶にしないためには、建物の配置をどうすればよいかですが、敷地境界線から、少なくとも1メートル前後は離して配置をすることです。1.5メートル近く余裕が持てれば、より吉となるでしょう。そうすれば、上記のようなさまざまな凶事も和らぐでしょうし、建物周りの電気温水器や給湯器、汚水や雨水の配管などのメンテナンスも、容易に行えることでしょう。外壁の塗り直しなど、将来的なメンテナンスを行う際にも断然有利ですね。

あえて敷地を余すことは、敷地を無駄にしてしまうことと思われがちですが、その敷地の余裕、心の余裕が、住まいに吉運をもたらすことにお気づきになられたでしょうか。

小池康壽の家相学では、「建物の配置は、敷地に余裕を持たせてこそ大吉なり。それが、土地という大きな財産を生かし、幸せな家づくりの術となるべし」とお伝えしておきましょう。