玄関の家相

家相では昔から、辰巳(東南)の方角に玄関をつくると家長が出世する、家が繁栄するといわれてきました。たしかに、東南に玄関をつくることはとてもよいことです。しかし、家長が出世したり、家が繁栄したりするのはまた別の話。出世や繁栄を期待して、闇雲に東南に玄関をつくるのであれば、それは吉でも何でもありません。東南に玄関をつくることの本来の「吉」とは、太陽の光の乾燥、殺菌効果を得られることなのです。

建て替えなどで家を解体すると、土台や柱が一番傷んでいるのは、やはりお風呂です。では、次はどこかというと、意外にもトイレや台所より、玄関周りがシロアリや腐朽菌で傷んでいることが多いのです。雨の中を歩いた靴や、泥だらけの靴。汗でじっとり湿った靴などが、毎日放置されている場所だからです。

湿気や汚れだけでなく、靴は多くの雑菌をも外部から持ち込んでしまいます。明治時代、東京の銀座や神田に、初めて下水が引かれたといわれていますが、昔は農家以外は汚物の処理に困り、道路にまで撒き散らされたこともあったようです。そして、それらが原因で、コレラなどの伝染病が蔓延することもありました。外と内との切り替えの場である玄関は、実は湿気や雑菌に満ちた、住まいでも要注意の場所なのです。ですから、乾燥、殺菌効果のある太陽の光がほしい場所でもあるのです。

その意味では、東南の玄関は、まさしく大吉の玄関ですね。私は著書やサイトでも、東南は玄関にはよい場所であると書いています。しかし、プランニングを行う際は、私はあまり東南に玄関をつくりません。玄関には確かによい場所であっても、住まい全体のバランスを考えた場合、最も日当たりのよい東南に玄関をつくる意味があるかどうか、考慮するからです。



玄関は住まいの「顔」ですし、来客を迎えるための大切な場所でもありますが、家族が長時間利用する場所ではありませんね。また、現在の玄関ドアは、防犯面、断熱面が重視され、ガラス面積が少なく分厚くて、光や熱をできるだけ通さない構造に変わってきました。ですから、東南に玄関をつくったとしても、太陽の恩恵を受けにくくなってしまったのです。

また、玄関は道路の向きによって、ある程度つくる場所が決まってきます。北側が道路なのに、わざわざ東南に玄関をつくるのは好ましくありません。道路から見えない玄関は防犯上よくありませんし、「顔」がどこにあるかわからない家は不自然に見えてしまいます。迷信や縁起の良し悪しではなく、どの方角でも、まずは無理のない場所につくることです。

そして、大切なのはやはり「風通し」ですね。私は講演や鑑定でも、玄関はできるだけ風通しのよい環境をつくるようにお勧めしています。高気密の住まいになり、冷暖房の効率が上がり快適になったものの、湿気や臭いがこもりやすい住まいになったのは、皆さんもご存知のはずです。

たとえば、玄関扉を通風が確保できるドアや洋風の引き戸にして、風を通しやすくしたり、玄関ホールに窓を設けたりすることも、快適な吉の玄関をつくる方法です。また、寒冷地の住まいや花粉症でお悩みの方は、玄関に風除け室をつくるのもよいですね。冷気の進入を防ぎますし、花粉などを払ってから家に入れるメリットも出てくるでしょう。

小池康壽の現代家相学では、「闇雲に東南に玄関をつくるメリット現代ではあまりなし。それよりも風通し考慮して、玄関の悪しき気を掃き出し、吉の玄関スペース確保するなり。風除け室設けるは、寒冷地大いに吉」と申しておきましょう。