ダイニングの家相

ダイニングは家族が集まって食事をする場所。昔の住まいでいえば、さしずめ囲炉裏端といったところでしょうか。現代では囲炉裏もめずらしいものとなり、床も畳からフローリングへ、卓袱(ちゃぶ)台もダイニングテーブルへと様変わりしました。しかし、時代や生活様式が変わっても、ダイニングが住まいの中で重要なゾーンであることに変わりはありません。

昨今のダイニングは、食事をするだけではなく、家族の語らいの場所にもなり、主婦の家事スペースや、子供の勉強スペースとしても使われていますね。そんな多様性を持った部屋ですから、ただキッチンの延長としてではなく、「ダイニング」として適した場所、適したつくりを考えることが大切です。では、現代家相学上、ダイニングに適した場所とはどこでしょうか。それは、住まいの中でもっともよい環境の場所。家族みなが集まりやすく、気持ちよく食事や語らいができる場所です。

まず、隣家の視線が気になるような場所では当然落ち着きませんね。音や臭いなどの影響も受けにくい場所がよいでしょう。お隣の台所の排気口に隣接してしまったり、トイレの窓と隣接してしまったりするのでは、気持ちよく食事ができないでしょう。毎日家族が顔をそろえ、楽しく、落ち着いて食事ができることは、心身の健康上もとても大切なことですからね。

また、お年寄りとの同居の場合は、ダイニングとお年寄りの寝室の隣接には配慮しましょう。食事の際に不便でないようにと、ダイニングのすぐ隣に、お年寄りの部屋が配置されている図面もよく見るのですが、食事の時間が遅かったり、遅くまでダイニングで過ごすことの多い家庭では、お年寄りも眠れませんし、家族も気兼ねして過ごさなければなりません。廊下で隔てる、壁の防音性を高めるなどの配慮をしていただくとよいですね。

ダイニングの上の大きな吹き抜けも、意外に後悔の種となっているのです。焼肉や鍋物をするたびに、2階に煙や臭いが行き渡ってしまう、ダイニングでの話し声やテレビの音が、家中に聞こえてしまうなどという話もよく聞きます。また、ダイニングの近くにトイレをつくってしまい、トイレの臭いや音が気になるなど、ダイニングは、隣接する部屋や周辺環境を十分吟味しておく必要がある場所でもあるのです。

ただし、ダイニングの用途は、やはり食事を食べること。健康的に、おいしく食事を食べることができる、そんなダイニングが大吉のダイニングといえるでしょう。そのためには、できれば東南にダイニングをつくっていただきたいのです。東南という方位は、どんな部屋がきてもよい場所になりますが、家族が早朝に利用するダイニングをつくれば、もっとも東南と相性がよい部屋になるのです。

日本大学薬学部の榛葉繁紀講師(衛生化学)らは、朝日を浴びない生活を続けると脂肪をため込みやすい体質になることを突き止め、朝日を浴びることで体内時計が正常に働くようになり、脂肪をためにくい体質になることを時間生物学世界大会で発表されています。また、熊本大学病院長の三池輝久教授(小児発達学)らの研究では、不登校、引きこもりの対策として、子供たちに早朝の強い光を浴びさせたところ、効果があることがわかり、入院治療の結果、全員に生活のリズムが回復し、思考力や活動意欲の低下に対しても改善の兆しがみられたといわれています。

私の実兄も、日本睡眠学会の認定医として、不眠症や就寝時無呼吸症候群の睡眠医療センターの院長をしていますが、朝日を浴びることで睡眠がとりやすくなることを、治療法の一環として患者さんに提唱しています。太陽の光は、人間の心身の健康に影響を与え、早朝の光、午前中の光を住まいに積極的に取り入れることは、健康的に暮らすことのできる住まいをつくる大きなポイントといえるでしょう。

どんな部屋が東南にきても大吉ですが、私はダイニングこそを、東南につくることをお勧めしています。朝日の差す場所で、毎朝家族が語らいながら、おいしく食事が食べられれば、そんな幸せなことはありませんからね。

そして、人工的な光も大切にしてほしいのです。何気なく、ダイニングに蛍光灯を取り付けてしまう方も多いのですが、蛍光灯の白い光より、白熱灯の赤味のある光のほうが食べ物をおいしく感じさせてくれるのです。朝も夜も、家族そろっておいしく食事ができるダイニングこそ、現代の大吉のダイニングですね。

現代家相学では、「ダイニングは周囲の環境に多いに気を使うべし。隣家や隣接する部屋に気をつけることポイントなり。また、もっともよい光、東南の光と接することで、一日を健康的に送れるダイニングとなりけり。照明も暖かみのある光にすれば、食べ物おいしく感じ吉となる」とお伝えしておきましょう。